監査調書論

監査調書論① 監査調書はどうあるべきか

これから複数回の投稿にわたって、「 監査調書論 と題して公認会計士がつくる監査調書について書いていきます。

極論すると、監査人の仕事とはどれだけ効果的かつ効率的に監査調書を生産するかです。どれだけ残業しようと調書に意味がなければ何も生産していません。No Paper, No Workであるといえます。

それでは、監査調書とはどのようにあるべきでしょうか。どのような性質をもつものでしょうか。

結論としては、監査調書は①ロジカルで②読みやすく③書きやすく④実証しやすい必要があります。順番に詳細をご説明します。

 

監査調書はロジカルでなければならない。(Logical)

当たり前のことですが、監査調書は論理的である必要があります。

ここで重要となってくるのが「論理的である」とはどういうことかです。よく言われる「ロジカルに書きなさい・考えなさい」とは果たして本当はどういうことを指すのでしょうか。

監査において「論理的である」とは「同じ情報を持っているときに、同じ分析・検討を行えば同じ結論に至ること」を指します。

 

これは監査基準委員会報告書230の次の文言からも見て取ることができます。

監査人は、経験豊富な監査人が、以前に当該監査に関与していなくとも以下の事項を理解できるように、監査調書を作成しなければならない。

経験豊富な監査人であれば、監査人に求められる分析・検討の技術があり、それを理解することができます。

また「監査に関与していなくとも」ということは、事前に情報を知らず監査調書に記載ある情報のみから分析・検討を行っていることを指すと言えるでしょう。

そのような状況であったとしても同じ結論にいたることを監査基準は求めているのです。

 

監査調書は読みすくなければならない。(easy to Read)

監査調書は調書作成者が書き上げて終わりではありません。実に多様な想定読者が存在します。上位者や社員、さらには審査や外部検査まで様々です。

そのような監査調書はまずロジカルに読みやすい必要があります。

どれだけ頭の中で論理的な監査手続きを考え実行したとしても、それが読者に伝わらなければ監査調書に価値はありません。

どのような立場の人が読んでも、どのような情報を得ていて、それをどのように分析・検討し、どのような結論に至ったのかがわかるように単純明快に書く必要があります。

 

監査調書は書きやすくなければならない。(easy to Write)

成果物としての監査調書はロジカルに読みやすい必要があることを述べました。

そのような監査調書をつくる際には、監査調書のデザインを考えることも必要になってきます。監査調書のデザインとは「パッと見でどのような調書であるかがわかること」です。どれだけロジカルに書かれた調書だとしてもそれを読むのに骨が折れるのではユーザーフレンドリーな調書だとは言えません。想定読者を意図したものとなっていないのです。

またこのデザインを意図することは監査調書をつくる側にもメリットがあります

一般に一つの監査調書を最初から終わりまで途切れることなく作り続けられることはありません。なんらかの異なる調書や業務が発生します。一旦、調書作成が途切れてしまったとしてもパッと見でわかりやすい調書であれば即座に作成に戻ることができ効率的です。

さらに監査調書がパッと見でわかりやすいということは、監査が組織的に行われるという観点からも重要です。監査調書は慣例として前期調書を参考として作られることが多いため、パッと見でわかりやすい調書は次期の調書作成者にもメリットをもたらすでしょう。

監査調書のデザインの詳細についてはまた別の記事で書いていくことにします。

監査調書は実証しやすくなければならない。(easy to Substantiate)

最後に、監査調書は実証的でなければなりません。

監査調書は法的な根拠資料として用いられる場合があります。そこでは監査調書が適切な証拠となりうることが求められます。

十分な調査に基づく情報で作成されたロジカルな調書は、誰が見ても非の打ちようがなく強固な証拠となりえます。

監査調書はどうあるべきか

・ロジカルでなければならない
・読みやすくなければならない
・書きやすくなければならない
・実証しやすくなければならない

最後に

今回は監査調書がどうあるべきかの概要について書きました。4つの特性の頭文字がL・R・W・Sなので、英語の4技能と同じだと覚えておいてください。これからこの特性に基づいて、より具体的に監査調書がどうあるべきかについて記事にしていきます。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

今後もFeedMate会計をよろしくお願いいたします。

 

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